思い出話8(おばーちゃんの知恵)
登場人物 (祖母・僕)
これは僕が20代前半ぐらいの頃の話
このころは冬はスノーボード、オフシーズンは仕事の毎日。
スノーボードの為、滑れない時でも自宅で筋トレしたりして日々を過ごしていた。
筋トレはそんなハードなものでは無かったが、一応毎日するよう心掛けていた。
いつものように風呂上りに自宅リビングで筋トレしていると、それを見ていた祖母が
「あんた、風呂上りにそんな事して意味ないやん」と言ってきた。
「えっ!そうなんや!!」と、祖母に筋トレについてそんな知識があることにびっくりしたが、深く理由を聞かずその時間帯に筋トレをするのをやめた。
温まった筋肉に刺激を与えても効果が薄いのかな?と自分なりに解釈していた。
冬のシーズンになり一緒に住んでいた筋肉ムキムキの友達、きんに君が僕の前で風呂上りに筋トレしていたので
「風呂上りに筋トレしてもあんま意味無いらしいよ」と祖母の知恵を教えてあげた。
きんに君も「そうなんや!?」と言って僕に深く理由を聞くこと無く、その時間帯に筋トレするのをやめた。
またしばらくすると、僕ときんに君の前で風呂上りに筋トレしてる友達N君がいたので
きんに君がN君に「風呂上りに筋トレしても意味無いよ」とまるで自分の知識かのように教えてあげていた。
N君は筋肉ムキムキのきんに君が言うのだからそうなのだろうと、深く理由を聞くこと無くその時間帯に筋トレするのをやめた。
するとなぜかこの祖母の知識が、きんに君の口を通していろんな人に広まった。
結構広まったところで別の友人が初めてその知識に対して「なんで?」と聞き返してきた。するときんに君は「温まった筋肉に刺激与えても意味無いんだよ」と教えていた。
僕と同じような事を思っていたことに驚いた。
しかし、本当にそうなのだろうかと僕は疑問に思った。
冬が終わり自宅に戻った際にちゃんと理由を聞こうと祖母に質問してみた。
「おばーちゃん、結構前やけど風呂上りに筋トレしても意味無いって教えてくれたやん。あれはなんで?」
すると祖母は
「そんなん言ったかな」と忘れていた。まぁ年寄りやから忘れるのも仕方ない。
結局ちゃんとした理由を聞くことができないまま、心にモヤモヤを残し時が流れた。
そうだ!また風呂上りに筋トレしてたら同じようなシチュエーションになるのでは!?
そう思い、来る日も来る日も祖母の前で風呂上りに筋トレするが、ハマっているナンプレに注意が向いてなかなか言ってこない。
筋トレ中に苦しい声を出すなどして注意を引き付ける、すると
「あんた、風呂上りにそんな事して意味無いやん」
ついにきた。長年の疑問に終止符を打つ時が来た。
満を持して聞く
「なんで?」
「せっかくお風呂入ったのに、また汗かくやん」
しょーもな。けっこう話広まってもーたがな。
めでたし。