思い出話(ミノル君)
登場人物 主人公 ミノル君・ アベニールさん・僕
中学からの同級生で、ミノル君という友達がいる。
彼とは今の会社で一緒に働いていた時期がある。
ミノル君と言う人は、結構お金持ちの家の息子で性格は天然。
そんな彼と一緒に働いていた時の出来事
ある冬の寒い日の事、会社にはストーブが置いてあった。
そのストーブは天板にヤカンを置いてお湯を沸かせるタイプ
仕事中にミノル君がストーブの前に座っていた。
天板には鍋の(実際は鍋ではない)ようなものを置いて、水を張り、お湯が沸くのをジーっと見ていた。近くにはペルー人のアベニールさんが立っていた。
最初はあまり気にしていなかったが、動かず、ずっとジーっと見ていたため、病み始めかな?と心配になった。
しばらくすると、グツグツとお湯が沸いた。
ミノル君は、そこに水をちょっと足し、再度沸騰するのをジーっと見ていた。
沸いては水を足し。また沸いては水を足し、それを何回も繰り返していた。
病み始めと思ったがもう末期だった。
何回目かのお湯が沸いたとき、水を足したタイミングでミノル君が鍋から目を離した。
近くにいたアベニールさんがそのすきに、お湯を捨て流し、鍋を元の位置に戻した。
気づかれていない。
ミノル君が再度鍋を見ると空になっている。びっくりしていた。
どうするのか見ていると、また水を張りお湯が沸くのを待って、沸いては水を足し、また沸いては水を足しを繰り返した。
しかし今回は違い、足す水の量を調整しているようだった。
足しては しばらく見つめ首を傾げる。また足しては見つめ首を傾げる。
あまりにもずっと続けているため「何してんの?」と声をかけた。
「ちょっと聞いてくれ。さっきから沸騰したお湯に水を足してんねんけど、一回だけ一瞬でお湯が蒸発してん!!
たぶん足す水の量がピッタシやったら一瞬でお湯が蒸発するんやと思う」
と、世紀の大発見を鼻息荒く興奮した様子で僕に教えてくれた。
彼は、よそ見してる間に起きたことを知らない。なんて純粋なんだ。
正直に言ってあげた。
「お前がよそ見してる間にアベニールさんが捨てたんやで。」
アベニールさんを見るとこっちを見ながらニヤニヤしていた。
ミノル君は先ほどの興奮を照れ隠すかのように
「お前ふざけんなぁーー!!」といって追いかけまわしていた。
めでたし。