思い出話3(数学得意なヨッチャン)
中学時代、掃除の時間の思い出話
《登場人物 主人公 角本ヨッチャン ・友達 マッツン・僕・体育教師 タッキン》
中学3年の時、クラスメートのヨッチャンとマッツンとはいつも仲よく遊んでいた。
ヨッチャンという人は簡単にいうと、よくいるそこら辺の中学生で、あまりこれといった特徴が無かったが、顔はまぁまぁ、髪の毛はアブラギッシュでいつもテカっていた。
。
でもヨッチャンは、カッコつけのいじられキャラで僕とマッツンでヨッチャンの髪形をいつもからかっていた。
カッコつけのヨッチャンの髪形はセンター分けだった。(女子には不評)
しかし、微妙にずれていて6:4でもなく5.5:4.5分け
ヨッチャンは数学が得意で、苦手な僕はいつも教えてもらっていた
「数学得意なのに自分の頭5:5のセンターも分からんねんな」と言って、今思えば何がそんなに面白かったのかわからないが、当時はそれでよく笑っていた。
僕の教室は3階で真下の2階には職員室があった。
とある風の気持ちの良いちょっと暖かい日の掃除の時間、僕とマッツンで教室を掃除していた。窓から運動場を見ると、ヨッチャンが運動場の隅で掃除(草むしり)をしていた。
ヨッチャンの近くにテニス部が片付け忘れたテニスボールが落ちているのを教室から見ていたマッツンが見つけた。
「ヨッチャーン、そこのテニスボール投げて―」
ヨッチャンはテニスボールを拾い上げ3階の僕たちにめがけて投げようと校舎に近づいてきた。
ヨッチャンは数学が得意。
3階までの高さ、投げるボールの角度、ボールの勢い、必要な助走距離。
それらを瞬時に計算しボールを放り投げた。
ボールはキレイな放物線を描き そして、窓の開いた2階の職員室にIN。
【ガシャーーン】
ヨッチャンはめちゃくちゃ運動音痴だった。
100m走はクラスで1・2を争うほどの遅さ、なのにカッコつけやから走るときの手はパー。独特の走り方
【ガシャーーン】
何かが割れる音がした。
僕はボールの行く先を目で追いながら何かが割れる音がするまで、走馬灯のようなゆっくり時間が流れるのを感じた。
そして、(ヨッチャン逃げろ!!)と思い、瞬時に校舎の真下の死角に入れば誰がやったかバレないと思った。ヨッチャンを守るため、この出来事はマッツン、僕、ヨッチャンの3人の秘密にしようと心に決めた。
ヨッチャンに助言しようとボールの行く先からヨッチャンに視線を向けると、時すでに遅しヨッチャンは隠れる場所もない、だだっ広い運動場の彼方へ逃げようとしていた。
100m走はクラスで1・2を争うほどの遅さ、なのにカッコつけやから走るときの手はパー。独特の走り方
「オラー!角本ー!」
そっこーバレた。
体育教師タッキンが下の階で吠えた。
しばらくすると、涙を潤わせ戻ってきたヨッチャンは何も言わず自分の席について顔をうつ伏せていた。
僕はあの日ほどボールを片付け忘れたテニス部を恨んだ日はない。
めでたし。