コンプレックス1(僕という人間)
主人公 僕(名前A)
僕には長年、人には言えないコンプレックスがあった。
コンプレックスって他人が聞けば「なんや、そんな事」と嘲笑されるような事でも本人からすれば結構重大な事だったりする。
コンプレックスの始まりって、最初本人はあんまり気にしてないことを他人に指摘されて始まることが多いと思う。
良いように言えば、それまで人と比べることが無かったような事がある指摘によって他人と比べてしまう事だと思う。
僕の長年のコンプレックスは足が小さい事。人が聞けば「なんや、そんな事」である。
これは小学生5年生の時の話。体育館の掃除が終わり体育館シューズから靴に履き替える時、クラスメートの女の子が言った「A君の靴、めっちゃ小さくてかわいい」と周りの女子と盛り上がっていた。それがきっかけ。
でもその時は自分で靴とか買う事が無かったのでそこまで気にしてなかった。
中学に入ってバスケット部に入部したときにバッシュを買いに出かけた。
その時の足のサイズは22センチぐらいだったと思う。
靴屋さんに足のサイズを測ってもらったとき「足小さいですねぇ」と何気に店員が言った。
その時に5年生の時に言われた事を思い出していやな気持ちになった。
そんなサイズが数あるバッシュから選べるはずもなく限られた中から選ばざるを得なかった。
実際クラブを始まると友達が僕の足の小ささをイジッてくる。友達に悪気はなかった。でも気にしていた僕には、すごくバカにされたというか、心がえぐられるような気持ちだった。
それからは自分の足の小ささを隠すように大きい靴を履くようになっていった。
新しい靴を買うときはだいたい26センチの靴を買っていた。
当然ブカブカである。
普通に歩いているといきなり【明日天気になーれ】みたいな感じで靴がポーンと脱げることもしばしば。恥ずかしながらケンケンで靴の所まで行く。
次に買うバッシュは26センチのバッシュを買った。
そんなブカブカのバッシュでは本領が発揮できるはずもなかった。(その事を長年ベンチだった事を言い訳にする)
しかし、そのコンプレックスを言えるようになったのは19才の時に出会った友達の何気ない一言だった
当時の僕はスノーボードに夢中になり本気でプロを目指そうとしていた。そんな中同じようにプロを目指そうとするK君とI君との出会いがあった。
このころ僕の足のサイズは24.5センチ
ある日K君とI君とでスノーボード用具の話をしていた時 K君が
「俺、足小さいねん、24センチの靴探すの大変なんよ」と言った。するとI君が
「わかる。俺もやねん」
自分が長年打ち明けられなかったコンプレックスだった事をこの二人は、ただの会話の一部として話していた。僕には衝撃的だった。
K君とI君の中ではそんな深い話ではなかったと思うが、僕の人生の中ではすごく救われたような気持ちになった。
自分の中では重大であっても他人からすれば「なんや、そんな事」である。
これは足が小さいことが完全にコンプレックスで無くなった時の話
スノーボードに夢中でスノーボードレンタルショップで働いていた時、団体のお客さんがスノーボードをレンタルしにきた。その中に僕と同い年ぐらいの男性がいた。
一式レンタルという事で要望の26センチの靴を用意した。靴を試着してもらい「どうですか?」と声を掛けた。
「大丈夫です」との返答に違和感を感じた。
「ちょっと見てみますね」と言い、つま先部分を触ってみると明らかにブカブカ。
僕はピンときた。
そんなことはないが当たり障りないように「スノーボードの靴はちょっと大きめに作られていますからね」というと「じゃあ25センチお願いします」言われた。25センチの靴を履いてもらい確認したがやっぱりちょっとブカブカ。
そのやり取りの中でその男性に単刀直入に「足が小さいことがコンプレックスですか?僕も足小さいですよ」とお互いの足裏を合わせてみた。自分もコンプレックスだったことを素直に打ち明けた。すると男性は24センチの靴をレンタルしていった。
その事をきっかけに僕は自分のマイナスイメージを率先して言っていこうと思った。
僕の何気ない一言が誰かを救うことがあるかもしれないと思いながら。
逆もあるけどね・・・
めでたし。