思い出話4(ボディーランゲージ)
外国人のボディーランゲージ
《登場人物 主人公 セベロさん ・ 僕 》
これは僕が今の会社の、1つの現場のリーダーだった時の話
その時やっていた作業というのは鋳物工場で型枠から製品をバラす、バラシという作業
プラモデルの部品を枠から外す作業といえば想像しやすいかも
ライン作業で流れてくる品物をどんどんバラしていき、だいたい4人一組で20分ごとに持ち場をローテーションしていく。
そんな感じの仕事。
力仕事なので男ばかり。中には外国人の人も何人かいた。
当時一緒によく働いていたのは日系ペルー人のセベロさん
セベロさんは日本にきてまだ間もないし結構年齢もいってたので日本語は挨拶できるぐらい、コミュニケーションをとるのは難しかった。
ある日、いつものようにライン作業していたらどこからか異臭がしてきた。ゴムが焦げているような臭い。
どこかでゴムが燃えているのだろうか。きっとベルトコンベアーが燃えているのではと思った。しかし、作業場にはいくつもベルトコンベアーある為異臭のもとを探すのに時間がかかった。
するとセベロさんが
「ヘイヘイ」と僕にボディーランゲージで何かを訴えている。
日本人なら【くさい】をジェスチャーで伝えるなら、片方の手で鼻をつまみ、もう片方の手は鼻の前でヒラヒラと振るのではないだろうか。多分ほとんどの日本人はこうすると思う。
しかしセベロさんは違った。
右手の人差し指と中指をたて、その指を鼻の下に持ってくるのだった。
日本ではそれを【カトチャン ぺ】という。
セベロさんはセベロさんなりに
「なんかくさいよ」とボディーランゲージで訴えかけてくる。
しかしそれは【カトチャン ぺ】
それを見て
「お、おう。そんなん覚えたんや」
昨日ドリフでも見たのかな?と思ったが、こんな時にそれを見せられて正直反応に困ってしまった。
そんな事に構ってられず僕は異臭のもとを探そうとする。
すると後ろからセベロさんが追いかけてきて
「ヘイヘイ」 【カトチャン ぺ】 【カトチャン ぺ】
なんやこいつ!それどころちゃうのに。
苦笑い、無視する。
「ヘイヘイ」 【カトチャン ぺ】 【カトチャン ぺ】
えっ!うそやん!俺が笑うまでやるつもり?
でも、それって真剣な表情でするもんちゃうし、もうちょっとおちゃらけてするもんやし。
セベロさん伝わらないと思ったのか僕の手を引っ張り異臭のもとに案内してくれた。
ベルトコンベアーのローラー部分に異物が挟まり、空回りして摩擦で焦げ臭いにおいがしてるだけだった。異物を取り除き事なきを得た。
ありがとうとセベロさんにお礼を言うとにっこり笑って肩をポンポンと叩いてくれた。
世界は言語も違えばボディーランゲージも違うんだなーと思った。
めでたし。